「Diablo III」に学ぶ、デバイスと環境への最適化

「ゲームから学ぶUI/UX」シリーズ始めました。
第1回目は「Diablo III: Reaper of Souls」をお題に、UI/UXをデバイスと環境に最適化することの重要性について書いてみます。

目次

Diablo IIIについて

言わずと知れたハクスラの雄「ディアブロシリーズ」の3作目。
PC版は2012年5月15日に発売され、その後コンシューマーへの移植、拡張パック「リーパーオブソウルズ」と「ライズ オブ ネクロマンサー」を経て、今尚僕がはまり続けているゲームの一つです。

ディアブロを知らない人に一言で説明するなら

とにかく敵を倒してレアアイテムを手に入れて俺TUEEEする、剣と魔法のダークファンタジーな世界観のアクションRPGです。

「Diablo III Reaper of Souls」の良いところを挙げるとこんな感じ。

  • 簡単操作で爽快アクション
    序盤から派手なエフェクトで敵を薙ぎ倒す爽快感
  • バランスが絶妙
    適度な成長速度と難易度、アイテムドロップ率
  • 作業感を無くす親切設計
    大量のアイテムの選別・整理や、ダンジョンへの行き来がストレスレス

Diablo IIIのつまづき

そんなDiablo IIIですが、実はその道は平坦では無かったのです…

人気シリーズとして期待されつつ発売されたPC版は、まさかの発売直後からつまづくことになってしまいました。

  • ネットワークエラー頻発
  • 敵が強(硬)過ぎる
  • 良いアイテムが出ない
  • アイテムがたくさん出たと思ったらゴミの山
  • どのアイテムが強いのかパッと見わからない
  • ユーザーテスト軽視によるバランス調整不足

などの理由で当時のユーザーレビューは散々だったそうです。
このままシリーズは終わってしまうのか?…に思えたのですが、ターニングポイントとなったのはコンシューマゲーム機への移植でした。

PlayStation®3版は2013年9月発売。
拡張パック「Reaper of Souls」のPlayStation®4版は2014年8月発売。
移植に当たって、UI/UXの見直しが行われました。
(海外ではXBOX版もあるよ!)

異なるデバイスへの最適化

まずは操作体系の異なるデバイスへの対応として、

キーボード&マウスの操作体系からワイヤレスコントローラへの操作に。
PC版では、マウスクリックで目的地を選択して移動し、キーボードのキーアサインからスキルを発動。
コンシューマー版では、コントローラーのアナログスティックで移動&回避しつつ、各ボタンからスキルを発動。

PC版のマウスクリックとキーボードショートカットキーを一覧表示したUIから、DUALSHOCK®4のアナログスティックを使った直感的な動きと、限られたボタン表示のコンパクトなUIに変更されました。

また、ハクスラの要となり、最も多く頻繁に使うことになるアイテムメニューは、

PC版の一覧からマウスで選択するUIから、アナログスティックを倒してカテゴリを選択するサークルUIに変更されました。
手順としては1段増えているのですが、慣れたらアナログスティックの傾き一つでカテゴリをダイレクトに移動し、アイテムを絞り込んで表示することができます。

また、一覧で閲覧しながらこれはいらないと思ったアイテムは、右アナログスティックを押し込むことでジャンクアイテムのフラグを立てて、後でまとめて売り払ったり、分解することができ、まるでLightroomで大量の写真を捌くように、高速でアイテムを選別・整理することが可能です。

異なる環境への最適化

PCからコンシューマへの移植にあたって変わる環境としては、ユーザーと画面の物理的な距離が挙げられます。
(もちろん個人差はありますが)

異なる環境への対応として、数十センチ先のPCディスプレイから、数メートル先のテレビモニタに。

物理的な距離が遠くなると何が起こるのか?

それは「細かいところが見えないかもしれない」ということです。
そのため、アイテムを比較するためのUIが再考され、レア度や特殊効果、能力値などがパッと見で比較しやすいように整理されました。

また、せっかく手に入れた強いアイテムも、遠目から見ると大して見た目が変わらなくてモチベーションが下がるのを防ぐために、アイテムの外見と性能の見直しが行われ、様々なコラボ衣装なども産まれました。

「ワンダと巨像」コラボレーション

要するに、強いアイテムには分かり易く強そうな外見をということですね。

コンシューマならでは新しい遊び方

さらにコンシューマならではの新しい遊び方の提案として、コントローラを持ち寄った最大4人のオフラインマルチプレイが実装されました。

ここでもコンパクトになったUIが生きていて、画面内に4人分の情報を置くことを可能にしています。
そして、それまでのオンライン協力プレイだけではなく、気のおける家族や友人と気軽なプレイができるようになり、より幅広いユーザーに間口が広がりました。

レベルデザインの見直し

また、UIの変更だけではなく、ユーザーが快適に遊べるための様々なバランス調整が行われました。

  • レベルアップ速度の向上
  • レベル上限後のさらなる強化システムの導入
  • 難易度の調整、ステージの再構築
  • レジェンダリーアイテムのドロップ率向上

単にヌルゲーになったのではなく、ユーザーが序盤から敵を倒す爽快感と成長感を得られるレベリングと、適度なアイテムドロップ率で、よりレアなアイテムのために高難度に挑戦したくなる絶妙なバランスに仕上がったのでした。

すべてのユーザーがハッピーに

そして、これらのコンシューマ版で追加・変更された要素やバランスをPC版にフィードバックすることで、PCユーザーも含めたすべてのユーザーが快適に遊べるようになり、「Diablo III」は見事人気タイトルへ復活したのでした。

ゲームに限らず、本当の意味でユーザーファーストの考え方でデバイスや環境に最適化するということは、新たなユーザー体験を生み出し、ピンチもチャンスに変える「可能性」である、ということで締めたいと思います。

ちなみにこの「Diablo III」の華麗な復活への道は、実際に開発者の方がインタビューで語られたことを元にしています。
ご興味がある方はこちらもご覧ください。

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